等価交換・中編

 

 

 

 

翌朝…

 

アラディアは

フィアーマと

馬車に乗り、

森の外れの街に

行きました。

 

✨私は街に行くのは初めてなのでとても

嬉しいのと、フィアーマと似た感じの色の

シンプルなドレスを着て、いつもとは違う

自分を気に入ってました🎶

 

フィアーマは馬車に乗ると私を見て

「アラディア様、楽しそうですね!

でも、何故お聞きにならないのですか?

色々と疑問だらけでしょう?」と

少し悪戯っぽく微笑みました。

 

私は少し不満で怒った様な声で

「私は自分でしっかり考えてから

それでも解らない事を質問する様にと

母から言われてます!

だから考えています!

母が私にフィアーマの心が読めない様に

魔法を掛けた事もです!」

 

フィアーマは持って来た大きな袋から

小さな袋を出して私の手に乗せました。

 

「これはアラディア様に用意した

タロットカードです。」

 

私は驚いて思わず…

 

「私に?嬉しい!見ても良いですか?」と

タロットカードを受け取りました!✨

 

 

 

「アラディア様、

タロットカードを私から習うのに、私の心

が読めては習う事にならないですよね?

だから、ディアナ様は魔法を掛けたのだと

思います。」

 

私は『成る程』と、納得しましたが…

 

「でも、フィアーマは人間なのですよね?

少女の頃に精霊や妖精と話もしてました!

私の心も読めていましたよね?」

 

 

フィアーマは頷き、

 

「…私の父は風の精霊のひとりなのです。

 

父は精霊ですが、

 

…母は人間で

ジプシーの踊り子

でした。

 

……だから

普通の人間には

無い力が備わって

生まれてきたのです💫

 

 

精霊の父と人間の母とはとても愛し合い

共に生活する事を望みまました。

 

でも、風の精霊もジプシーも土地を転々と

旅をしなければらない運命を背負っていて

一緒に暮らす事が出来ませんでした。

 

その為に父は精霊から人間になる事を

ディアナ様にお願いしたのです。

 

そして…

父はディアナ様と『等価交換』をして

叶えました。」

 

私は母の

『等価交換』の言葉を思い出しました!

 

「等価交換?

等価交換って何ですか?」

 

思わず大きな声になってしまった私とは

逆にフィアーマは静かな微笑みを浮かべ…

 

「アラディア様…

『等価交換』の意味が解らないのでしたら

これから私と行動する事で学ぶ事が出来る

はずです。」

 

そしてタロットカードを指差して、

「私の仕事は占い師です。

カードを視て必要な時に必要な事だけを

導きだします。

人の心や運命をカードから導くのです。

 

普段は視ない様にしてます。

 

私はアラディア様の心は読んでませんよ。

アラディア様のお顔を視ていれば大体の

お気持ちはわかりますから…✨」

 

 

私の方がフィアーマより遥かに長く生きて

いるはずなのに…💫

 

何故かフィアーマを母の様に感じました。

 

私は微笑みを浮かべて✨

「フィアーマ…宜しくお願い致します!」

 

私は色々と疑問は沢山有りましたが

何だか納得していました。

 

 

 

……そして、馬車が止まり

 

 

御者が訊ねました。

「フィアーマさん、市場の入り口ですが

本当にここまでで大丈夫ですか?」

 

フィアーマは立ち上がり

「ありがとうございます。

此処で大丈夫です、助かりました。」

 

フィアーマは馬車を降り

「さぁ、アラディア様、参りましょう!」

 

私が馬車を降りると…

「アラディア様、これを頭から被って

お顔を隠して下さい。」

 

渡された布をフィアーマの真似をして

被りました。

「それから、これから仕事の間は

アラディア様は私の御弟子さんとして

Ala✨アーラと呼びますね。」

 

「アーラ(翼)ですね!素敵です!✨」

私が嬉しそうな顔をしているのを見て

フィアーマも嬉しそうでした。

 

どうやら…

私は顔に気持ちが出てしまうらしい…と

いう事を、その時初めて分かりました…💡

 

 

 

市場は沢山の人々が賑わっていました。

色々な服装で様々な年齢の男女がいて

其々の表情しているようにみえました。

 

「アーラ!早く付いて来なさい。」

 

気が付くと、ずっと先の方にフィアーマは

歩いていました。

 

そして暫く歩いて少し人通りの少ない店の

前で止まり、私に眼で合図すると店の奥に

入っていってしまいました。

 

 

不思議な飾りの付いたカーテンが素敵な

狭いけど小綺麗な店でした。

 

私はカーテンを開けて入って行くと

もう、お客さまが待っていました。

 

 

「アーラ、私の後ろに行きなさい。」

フィアーマはもうテーブルに

付いていました。

 

そしてお客さまに向かって、

 

「私の新しい弟子のアーラですよ。」

私を紹介してくれました。

 

 

「フィアーマさんの御弟子さん!

じゃあ、才能が有るんだね~。

フィアーマさんは滅多に御弟子さんを

取らないから、楽しみだわ~。」

人の良さそうな年配の女性でした。

 

身なりは余り豊かとは言えなさそうな、

古着の様な服を着て靴も破けていました。

 

 

「アーラです。ごきげんよう✨」

私は思わずいつもの様に片手を胸に当て

膝を曲げて身体を沈める様な仕草の挨拶を

してしまうと…❕

 

「あれま~!なんてご丁寧な挨拶だわね。」

そう言って大きな声で笑らい、

「どこかのお姫様なのかい?」と、

フィアーマに聞いてました。

 

「ソフィアさん、時間が勿体無いわよ。

その後どうなったの?」

フィアーマはタロットカードを出して

シャッフルを始めました💫

 

 

すると、ソフィアさんは顔が真剣になり…

「娘は本当に好きだから諦めきれ無いと

言って帰りを待っているんだけどね。

相手の若者は仕事と言って出掛けてから

もう2ヶ月位も帰って来なくてね~。

不安で…食欲も無くて具合も悪くなって

来てどうしたら良いのか…。」

 

フィアーマはカードを並べて…

 

「娘さんのマリアさんの彼、出先で怪我を

して動けなかったみたいだけれど…

…骨折したようだわ。

でも、もうこちらに向かっている途中よ。

だから…もう明日か、明後日には帰って

来そうだから大丈夫よ!

マリアさんに伝えて上げて下さい。

安心させたら具合も良くなるわ。」

 

そう言うと小さな袋を出して

「一応、これをスープにひとつまみ入れて

飲まして上げて、少し苦いけど元気になる

わよ。」

 

ソフィアさんは笑顔になり✨

「ありがとうございます!

娘に伝えて、スープも飲ませるよ!」

 

そしてソフィアさんはフィアーマさんの

袋と交換するかの様に持って来た草の束を

渡しました。

 

「フィアーマさん、これで良いのかい?」

 

フィアーマは微笑み✨

「勿論よ。

これは薬草になるとっても貴重な草よ。

はい、占い代金頂きました。」

 

ソフィアさんは何度もお礼を言って

嬉しそうに帰っていきました。

 

ソフィアさんの後も何人も人達が悩みを

相談しては、何かと交換していました。

 

人は見掛けはどんなに明るくみえても

色々沢山の悩みが有ったりするもの…

 

そして、

フィアーマはとても信頼されていて…

誰の相談も真剣に乗っている。

 

みんな、明るい笑顔で帰って行く…

 

そして…相談料として何かを交換してる。

 

これが『等価交換』なのかしら?

 

 

いいえ…もっと何か有る……!!

何故か背筋にゾッとするような…⚡

恐ろしい…何かを直感してました!

 

 

2017,6,30